「AIの人材育成と技術開発が自分のライフワーク!」NABLAS株式会社の代表取締役、中山浩太郎さんを取材

2019年04月24日

半年ほど前、東京大学松尾研究室発のベンチャー企業であり、AI人材育成を行うアイレクト株式会社が、NABLAS株式会社に社名変更をしたことで話題になりました。

社名の変更とともに、NABLASはコンサルティングと研究開発の新しいサービスを提供しはじめました。今回は、そんなNABLASの様々なサービスに注目し、代表取締役の中山浩太郎さんに取材を行いました。

 

中山さんのバックグラウンド・自己紹介

中山さん: 宜しくお願いします。

私の所属は2つあります。その一つがNABLAS株式会社の代表取締役で、もう一つが松尾研究室のリサーチディレクターです。私の専門はAI/大規模データ分析なのですが、Webマイニング、ビッグデータ解析、ディープラーニングや機械学習といった分野に対して、やや幅広く構えています。

私は、学生時代からAIに関する技術開発を自分のライフワークと考えていました。
高校入学時に既にIT分野で自分の力を発揮したいと考えていて、高校は情報処理科という、特殊な学科のある学校を選びました。今ではそれほど珍しくないかもしれませんが、高校時代からプログラミングをしていました。

大学時代にソフトウェア開発の会社を設立しました。学費を稼ぎ、勉強をしながら、会社を運営していくという二足の草鞋を履く学生生活を送っていました。その間、社会にIT技術を広めることを目的に、学生だった期間の中だけでも7冊のプログラミング・技術系の書籍を出版してきました。

大阪大学で博士号を取り、上京してからもAI技術の開発と人材育成活動に力を入れてきました。

 

まずは、NABLASという会社を設立した動機から教えてください

中山さん: NABLASを設立する数年前から、東京大学でディープラーニングの基礎講座やデータサイエンティストの育成講座を企画・運営していました。

しかし、ごく一部の東京大学近辺の人にしかこの活動を提供できないことに限界を感じていました。人材育成活動をもっと社会に広めていこうという目的で、2017年にiLect株式会社を設立しました。その活動の中で感じたことは、日本全体としてAI人材の不足とその育成が大きな課題であるということを強く再確認しましたし、加えてもう一つ重要なこととして、人と技術、社会問題をよりダイレクトに繋げる仕組みが必要だということに気づきました。
そのため、事業拡大する形で従来のAI人材育成の活動に加え、2018年にR&D(研究開発)事業も開始し、そのタイミングでAI技術の総合研究所「NABLAS株式会社」として新しいスタートを切りました。

NABLASホームページのスクリーンショット

 

iLect・NABLASの活動について教えてください

中山さん: 我々の事業は、大きく2つあります。一つは法人向けのAI人材育成事業である「iLect」、もうひとつは、NABLAS社になってから力を入れているAIコンサルティングとR&D事業です。貴重なデータを持っている企業は日本中に本当に沢山存在します。また、AI技術が急速に進化している中、今までに蓄積したデータを活かして、業界内での競争力を高めたいと思われている企業も非常に多いです。そういったところに、我々は技術のサイドから、AI講座やR&Dなどのソリューションを状況に応じて最適な形で提供させていただいています。

企業内の状況は本当に各社それぞれの状況があります。既に優秀なエンジニアを中心とした部隊がしっかりいる場合もあれば、全くエンジニア職の方がいらっしゃらない場合もあります。我々は、状況に応じて必要なレベルで技術開発や人材育成を展開し、クライアント企業の価値を高めることを目指しています。NABLASは東京大学に拠点があることからも、大学との連携を重視している点が重要な特徴の一つです。次々と登場するテクノロジーの情報を常に蓄積し、社会実装に活かしています。

ただ、その一方で常に気をつけているのが、社会や企業にインパクトを与えるのが、必ずしも最先端の技術だけではない、という点です。確かにディープラーニングの技術が急速に発達し、今まで不可能だったことが次々と実用性の高い技術として世の中に出てきていますし、だからこそ我々もディープラーニング技術をR&Dや人材育成の中心に据えています。しかし、全ての問題やデータに対して単一の技術が全てを変えていく、ということではなく、状況に応じて適切に技術選定することに対する重要性がますます高まっていると感じています。そのような目利きといいますか、適切な技術を適切な方法と手順で取り入れるための全体設計に関する役割も、AI総合研究所として我々が積極的に担っていきたいところだと考えています。

iLectホームページのスクリーンショット

AI人材育成事業の「iLect」では、四つのAI講座を用意しています。

  • AI革命とビジネス講座 (DL4Biz) : 経営者向けの内容で、技術を体験しながらディープラーニング、機械学習とは何かを丸一日で理解することを目指す短期集中型の講座。「AI」という言葉に振り回されず、適切な意思決定を行うための知識を身につける。
  • データサイエンティストの育成講座: ディープラーニングを始めとする機械学習・データ分析などの技術を幅広く体系的に身につけることを目的とした初学者向けの講座。他の講座への導入として最適。
  • ディープラーニング実践開発講座 (DL4US) : エンジニア向け。アプリケーション指向の内容で、実務にディープラーニング技術を適用する能力を身につけるために、高度な数学的知識を要せずとも、一連の技術を身につける。
  • ディープラーニング基礎講座: 高度な数学的知識を要する、最も高度な内容の講座。企業や大学にて、基礎研究や高度なモデル開発に従事するエンジニア・研究者を対象とし、数式からモデルを構築できるレベルで競争力の高い技術開発のできる人材を育成することを目指す。

 

iLectのAI講座の特徴や工夫しているところは何ですか

中山さん: AI講座を実施されようと考えているほとんど全ての企業は、当然ですが人材育成自体が最終的な目的というわけではありません。AIに関する知識や技術を身に着けた優秀な人材の育成や発掘、を通じて最終的には自社の価値や社会にインパクトを出すことを目指しています。

そういう意味で、企業の状況や戦略などを聞かせていただき、受講者のレベルや会社としての戦略に応じた講座をデザインしています。また、「コミュニティ型AI人材育成」の考えに基づいて受講者が能動的にスキルを身につけるための工夫をしていることがiLectの強みです。具体的には、全ての演習が実際にデータを読み込んでAIのモデルを訓練させる演習を中心としています。巷に溢れる”AI講座”の中には、単にライブラリの構文を習得することに終始しているものもありますが、それは本質的ではないと考えています。様々なデータを扱って実際にAIモデルを訓練させる演習を中心としている他、受講者同士でAIのモデルの性能を競い合う「コンペティション」を導入したり、受講者の試行錯誤やアウトプットの機会をできるだけ多くしている点、受動的内容にならないようにしている点が、講座のコンテンツとしての特色になると思います。

 

さいごに

NABLAS株式会社の目標は、最先端のAI技術を社会に届け、人が人らしく生きることができる社会を実現することです。「AIが仕事を奪う」「AIに支配される」といったAI脅威論も散見されます。その一方で国際競争力の確保の観点以外にも、「少子高齢化・労働者人口不足をAIが救う」「地方の技術者継承の突破口」といったコンテキストでもAI技術に対して大きな期待が寄せられている状況だと思います。重要なのは、適切な技術選定と、戦略を持った導入・運用だと考えています。そこに対してAI総合研究所NABLASとして積極的に役割を果たしていきたいと考えていますし、貢献していきたいと強く願っています。

中山さんは、素晴らしい「ライフワーク」をお持ちですね。R&D事業とAI人材育成に力を入れていることが強く伝わりました。

 

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