日本のAIは遅れてる? 無人店舗で比較してみました

2020年03月17日

いまやAIは、日常生活の様々な場面でも使われております。みなさんが利用しているスマホアプリはもちろん、問い合わせのチャットボット音声アシスタントなどがあります。また、アプリやインターネットのサービスだけでなく、普段の生活でもAIが使われる場面があります。「無人店舗」と呼ばれる店員がいないお店でも使われています。今回は、無人店舗を例として、日本のAIがどれくらい遅れているか調査してみました。

 

無人店舗とは?

無人店舗とは、その名の通り店員がいないお店で、コンビニのように商品数が厳選された小さい店舗をイメージして下さい。お店に入るには事前に登録したスマホアプリや顔認証で入店し、商品をかごに入れると自動で認識されて、そのままお店を出ると会計も済ませてくれます。これを実現するために、AIの技術が使われています。ちなみに商品の補充は人が行うので、完全無人ではありませんね。

 

外国ではAIの無人店舗が当たり前?

無人店舗のさきがけとして、アメリカで登場したのは「AmazonGO」です。ネット通販のAmazonが出店し、当初はコンビニのような小型店舗でしたが今年にはスーパーのようにアルコールや生鮮食品も扱う「Amazon Go Grocery」がオープンしました。また、中国では、「ニューリテール(新小売)」が提唱されて、2017〜18年頃に無人コンビニが一気に増えました。5000店舗程度までで急拡大したものの、アプリによる入店の手間、設備投資の負担、会計の精度が悪いなどの課題もあり、急速に閉店していきました。しかし便利蜂などの新規参入企業では、無人店舗だけでなく仕入業務をAIで行うなどの取り組みにも挑戦しています。

 

日本の無人店舗AIで遅れてる?

では日本の無人店舗はどうでしょう。人手不足の影響でコンビニの24時間営業が難しくなっており、無人店舗が流行ってもおかしくはありませんね。しかしながら、日本で利用できる無人店舗はほとんどなりません。2018年のJR東日本による期間限定での出店や、大手コンビニと電機メーカーの共同開発による実証実験が中心です。2020年2月にセブンイレブンとNECによる「NEC SMART STORE」がオープンしましたが、1店舗のみで利用できるのはNECグループ社員のみ、入店できるのは8人までなどの制限があります。ローソンも共同開発先のパナソニックの事業所内で社員のみを対象したにした無人店舗で実証実験を行いました。「AmazonGO」は既に20店舗程度展開しておりますが、日本での無人店舗はアメリカと比べて遅れていると言わざるを得ません。

 

どうして日本のAI活用は遅れているのか

無人店舗では様々な形でAIが使われており、入店時の顔認証購入した商品を判別、棚の在庫管理、店内広告、代金の支払いなどでAIの技術は欠かせません。では、なぜ日本では無人店舗が普及が進まず、AI活用が遅れているのでしょう。コンビニは老若男女で色々な人が利用して、棚に並んだ商品を販売するだけでなく、様々なサービスを提供しています。それらを全て人間からAIに代替することは、現在の技術では不可能です。

また、無人店舗ではキャッシュレス決済のみになりますが、現金での支払いを好む日本では「現金お断り」では利用者が限られてしまいます。こうした背景もあり、コンビニでは「無人店舗」ではなく客自身が会計する「セルフレジ」の導入にとどまっています。コンビニ以外では、衣料品のユニクロでも商品を自動識別するセルフレジ導入されており、会計が複雑なパン屋さんでもトレイのパンを自動で判別するレジが導入されています。また、セルフレジ導入においては、「高齢者には使い方がわかりにくい」「店員とのコミュニケーションがなくなって温かみがなくなる」などの反対意見もあり、AI導入には技術以外の課題もあるのが実情です。

経営面でも、人手不足を解消するために時給を上げるのと、無人店舗を展開するのでは前者のほうがより低コストなのは明白です。企業としても無人店舗やAIの利用にはリスクが伴います。AIは完全かつ正確に動作する保証がないので、登録してない人が入店したり、万引を見抜けなかったり、購入していない商品を謝って決済するなどの事態は避けられません。こうした問題が1件でも発生すれば、クレームや評判悪化を避けるため店舗を休業せざるを得ないため、多額の費用をかけて導入するには躊躇してしまいます。AIは便利で様々な分野に応用できる技術ですが、こうした問題があって日本ではAI導入が遅れているのかもしれません。

しかしながら、日本はAIで遅れていても、無人店舗や自動化において世界最先端という一面もあります。なんと1970年代からハンバーガーやうどんの自動販売機が製造されており、現在でも一部店舗で稼働しています。AIによる無人店舗が登場する以前から、日本は無人化自動化にかけては唯一無二の存在だったと言えるでしょう。現在はAIと無人店舗でも世界に遅れをとっていますが、ぜひとも先人の偉業を受け継いて、世界に誇れるAIと無人店舗を期待しましょう。

 

※ 本記事は、マスク・ド・アナライズ様による寄稿記事です。

著者プロフィール: AIベンチャーで働きながら、TwitterによるAIやデータサイエンスの情報発信で注目を集める。現場目線による辛辣かつ鋭い語り口は、業界内でも有名になり「イキリデータサイエンティスト」と呼ばれるほど。AIベンチャー退職後は独立して、企業におけるAIの導入活用支援、人材育成、イベント登壇、執筆などの活動を行っている。著書「これからのデータサイエンスビジネス」は好評発売中!マスク・ドアナライズ様の取材記事: マスクドアナライズさんに日本のAI事情について取材しました!

 

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