SDGs実現のためのAI社会実装

2020年11月25日

SDGsとは

SDGsとは、ビジネス界で共通言語になりつつあるSDGsとはSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称です。2000年の国連サミットで合意されたMDGs(ミレニアム開発目標)に変わる、国際社会の新しい共通目標として採択されたものです。2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された、17の目標・169のターゲットから成ります。

17の目標には 1. 貧乏をなくそう、2. 飢餓をゼロに、3. すべての人に健康と福祉を、などあり、各目標の下にさらに詳細なターゲットがあります。例えば、4. 質の高い教育をみんなに、の目標には「4.1 2030年までに、全ての子供が男女の区別なく、適切かつ効果的な学習成果をもたらす、無償かつ公正で質の高い初等教育及び中等教育を修了できるようにする」、「4.2 2030年までに、全ての子供が男女の区別なく、質の高い乳幼児の発達・ケア及び就学前教育にアクセスすることにより、初等教育を受ける準備が整うようにする」など、より具体的なターゲットがあります。SDGsの17の目標及び169のターゲットの個別解説は、こちらを御覧ください。

 

SDGsとCSRの違い

SDGsという用語がビジネス界に紹介される前、企業はCSR(Corporate Social Responsibility ―企業の社会的責任)を意識していました。SDGsとCSRはいずれも社会の持続性の向上に貢献するものなので、同じようなものに見えますが、意図が異なります。CSRとは、ユーザー、従業員、株主、そして社会全般など、ステークホルダーから信頼を得るための慈善活動とも言えます。CSRの場合はステークホルダーからの信頼を得るためにはどうしたらよいのか、企業が自ら戦略を立てて行動に移すものであるのに対し、SDGsは上記でご紹介した17の目標が既に定時されています。

 

AIを用いたSDGsへの取り組み

さて、AIの研究開発や導入におり、どのSDGs目標が達成できるのか。SDGs目標9. 産業と技術革新の基盤をつくろう、の中には「9.5 2030年までにイノベーションを促進させることや100万人当たりの研究開発従事者数を大幅に増加させ、また官民研究開発の支出を拡大させるなど、開発途上国をはじめとする全ての国々の産業セクターにおける科学研究を促進し、技術能力を向上させる」や「9.b 産業の多様化や商品への付加価値創造などに資する政策環境の確保などを通じて、開発途上国の国内における技術開発、研究及びイノベーションを支援する」などといったターゲットがあります。「AI」と記載はされていないが、まずはこの目標に該当すると考えた方も少なくはないかと思います。しかしこれに限らず、AIはSDGsの17の目標に幅広くに貢献できますので、ここではいくつかの具体例をご紹介します。

 

目標3. すべての人に健康と福祉を

医療AIによって「SDGs目標3. すべての人の健康と福祉を」実現に近づけます。例えば、レントゲンやCT写真の分析にAIを用いて、医師の負担を減少し、医療診断の効率化に繋がります。

イスラエルの事例では、新型コロナウイルス感染症のリスク判定のためのAIが構築されました。重症化しやすい人を抽出し、感染した場合に優先的に治療が受けられるようになっています。但し、このためには27年分の医療記録が用いられたとのことで、個人情報保護法などの関係で他国で同様のことがすぐはできません。

国内では、利用者本位の福祉業界の実現を目指す株式会社ウェルモがこのSDGs目標に対する取り組みをされています。介護事業所向けのケアプラン作成業務を支援するAIエンジンや高齢者の遠隔見守り「電力、センサー情報を用いた居宅内モニタリングシステムなど、高齢者や障害児支援に繋がるAI研究開発です。

 

目標9. 産業と技術革新の基盤をつくろう

2020年のSDGs達成度17位の日本はまだ改善の余地がありますが、政府のSDGs実現のためのAI戦略をいくつか紹介していきます。まず、日本の内閣府の目標である「Society 5.0」実現にも、SDGsは含まれています。2019年6月、総合イノベーション戦略推進会議は「AI戦略2019〜人・産業・地域・政府全てにAI〜」を決定し、ひとつの戦略目標として「我が国がリーダーシップを取って、AI分野の国際的な研究・教育・社会基盤ネットワークを構築し、AIの研究開発、人材育成、SDGsの達成などを加速すること」と定められています。

産業界では、一般社団法人日本建材団体連合会(経団連)が、日本企業のAIいおける国際的な産業競争力を向上させることを目的に「AI活用原則タスクフォース」を設置しました。2019年2月には「AI活用戦略〜AI-Readyな社会の実現に向けて〜」として公表され、企業がAI活用を進めるあたり留意すべき「AI活用原則」などが示されました。この「AI活用原則」には①AIによるSociety 5.0 for SDGsの実現、②多様性を内包する社会のためのAI(AI for Diversity and Inclusion)など、SDGs目標と似たテーマが見られます。

最後に、日本でのSDGs実現に向けAIを活用した取り組みを行っている、今年8月に設立された株式会社Recursiveの紹介です。協業R&D、カスタムAIサービス、サービス開発の3つの領域で事業を展開し、SDGs達成のためのAI開発を行っている会社です。

 

目標10. 人や国の不平等をなくそう

職場や社会における、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済一その他の状況に基づく差別を廃棄することもSDGs目標の一つです。

※ 性別差別の問題は、SDGs目標5. ジェンダー平等を実現しよう、でも取り上げられています。

私達人間は育った環境などに影響され、認知バイアスという思考や判断の偏りがあり、思考の癖がついてしまっています。そのため、採用などで完全に客観的な判断を下ろすことが難しいのです。AIなら、履歴書を読み込んでも人種がわかってしまうかもしれない応募者の名前、年齢がわかってしまう生年月日などが判断を影響しないように、学習させられます。しかし、AIが人間の潜在的なバイアスを学習してしまわないために注意しなければなりません。アマゾンの採用ツールが女性を差別してしまっていた事件などを繰り返してしまうと、バイアス問題を逆に強化してしまいます。また、個人情報保護はSDGsの目標に直接は含まれていませんが、このようなAI活用法ではGDPR(General Data Protection Regulation: EU一般データ保護規則)などの法律の確認も必要です。

 

目標13. 気候変動に具体的な対策を

日本企業が一番多く注目されているのが、環境問題に関するSDGsです。「7. エネルギーをみんなにそしてクリーンに」、「14. 海の豊かさを守ろう」、「15. 陸の豊かさを守ろう」などと、環境問題は複数のSDGs目標で取り上げられていますが、気候変動は特にAIが貢献できるでしょう。気候変動においてはビッグデータが中心的な役割を果たします。過去データがあるため、気候変動データセットを利用して視覚化やモデル作成を行い、地表面温度や海氷域面積などを測定、追跡し、気候変動のモニタリングや予測ができます。

このように、AIはSDGsに大いに貢献することができます。企業の力を生かしてSDGsを実現するためには、AI技術が鍵を握っており、大きなポテンシャルを持っているので、今後も注目していきたいところです。

 

SDGs実現のためのAI研究開発: ライオンブリッジAI向け教師データサービスについて

当社は20年以上に渡るAIプロジェクトの実績を持ち、データ作成・アノテーションサービスを提供しております。データサイエンティストや言語学者を含み、100万人のアノテーターが登録されているので、大規模なAIプロジェクトも迅速且つ正確に仕上げます。アノテーターは秘密保持契約に署名することが義務付けられており、データ保護のためにオンサイトスタッフやリモートスタッフを派遣し、アノテーターにお客様ご指定のツールを利用してもらうこともできます。必要に応じて案件に特化した秘密保持契約も作成できるので、データの安全性も保証しております。ご相談・無料トライアルはこちらから。

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