EC業界向け: AI活用事例と、EC関連の公開データセットを23件紹介

2020年04月29日

ECサイトへのAIの導入は驚くに当たりません。オンライン事業はこれまでも常に新しいテクノロジーを迅速に取り入れてきました。最新のテクノロジーを利用して顧客体験を向上し、新市場を開拓し、販売を牽引することによってEC業界は成長してきたのです。現在、チャットボットや画像検索、レコメンド機能などAI技術の継続的な進歩によってEC業界は再び変貌を遂げています。

しかし、AI駆動の技術はどれくらい効果的で、役に立つのでしょうか?どこで利用されているのでしょう?そして、お客様自身のECサイトに最も適したものはどれでしょうか。

 

ECサイトにおけるAIの導入事例とメリット

ECサイトで最も人気のあるAIの活用事例に焦点を当て、AIは何ができるのか、どのように利用されているのか、そして実用化のための最初のステップは何かについてご紹介します。お客様独自のAI戦略の構想およびプランニングのお役に立てれば幸いです。

レコメンド機能

レコメンド機能は、顧客が欲しいものを見つけるためだけでなく、欲しいことに気づかなかったものを発見する上でも役立ちます。レコメンド機能は、顧客の検索クエリを分析して、類似性の高い商品を推薦したり、よく一緒に購入されている商品を提供したりできます。これに関する最も良い例はAmazonでしょう。欲しいものが見つからなくても、常に、次に最適な商品が提供されます。

ECサイトにレコメンド機能を導入する方法の一つに、AIによる商品分類があります。商品分類は広範なカテゴリー(本、家具、電子機器)からスタートし、細部(本のジャンル、家具の種類、電子機器のブランド名など)に及びます。このような細かい商品分類によって、顧客が一つ質問をしただけで様々な関連商品を提示できるので、全体的な顧客体験が向上し、顧客の購買意欲を高めます。

成長企業にとって手動による商品分類は非常に時間がかかります。常に提供商品をアップデートしているECサイトの場合は特にそうです。AIモデルを利用すれば、分類プロセスを自動化できます。AIシステムが包括的な分析システムと連携して商品の分類方法を学び、新たな検索クエリに対する関連商品を見つけ出してくれます。

関連記事: 機械学習による、ECサイトの商品仕分けとは?

 

データ分析

現代のビジネスでは大量のデータが生成されますが、このデータは非常に貴重です。効果的にデータ分析を行えば、自社や自社が提供するサービスについてユーザーがどのように感じ、他の人にどのように伝えているかをより深く理解することができます。トレンドを発見し、洞察を得るためにも役立ちます。自社の商品について誰が、どこで、どのように話しているのかを分析することによって明らかになることがたくさんあります。ブランドのストーリーとして何を語るべきかや、どこに焦点を置いて努力すべきかについて重要な意思決定をする上でも役立ちます。

しかし、分析のためにデータを収集し、整理するためには時間と人手が必要です。小規模なスタートアップ企業などは、事業が拡大し、手動でデータ分析を行う専門のチームが必要になるにつれ、すぐに自分たちでは対応できないことに気づきます。 

 

それでは、ここでAIはどのように役立つのでしょうか。

AIによるデータ分析戦略はまず、社内あるいはオンライン上でデータを収集することから始めます。それから、データクリーニングを行い、特定の目的のためにアノテーションを付与して、分析を自動化するモデルの学習に使用します。感情分析、キーワード抽出、固有表現抽出などを自動的にリアルタイムで実行できるので、データの意味を理解するだけで手一杯だったチームがデータを使った意思決定に集中できます。 

 

チャットボット

チャットボットがECサイトの体験に革命を起こすと言われるようになってから久しいですが、その革命はまだ完全には起こっていません。オンラインショッピングでは従来の検索と閲覧方法が依然として一般的です。とは言え、チャットボットはECサイトで実用化され、顧客にリーチするための有効な方法になっています。例えばShopifyは、チャットボット用にカスタマイズできるメッセンジャーを通して購買機会を提供しています。

チャットボットを導入するかどうかを決定する上で鍵となるのは、顧客基盤のどのくらいの割合がメッセージングを使い、購入の際も気軽にメッセージングを利用するかということです。これによってチャットボットに投資すべきかどうかが判断できます。効果的なチャットボットを作るためには学習データが必要なので、投資の是非を見極めておくことは重要です。とりわけ、潜在顧客をイライラさせるだけで結局あまり使用されなかったということにならないようにしなければなりません。

チャットボットの学習データは、クエリやコメントを理解して回答するために必要な単語、文章、質問、答えから構成されます。これらのデータは、顧客との電話を録音・文字起こししたものや顧客とのEメールのやり取り、オープンソースのデータベースから収集したり、ゼロから作成したりします。顧客のクエリを理解し、適切な回答、情報、レコメンドを返信する際のチャットボットの能力は、収集あるいは作成した学習データの質によって決まります。

チャットボットの導入にはプランニングと時間が必要ですが、最終的には、顧客がスムーズかつ自動化された体験によって希望する商品を手に入れることができるようになります。これだけでも、チャットボットは検討する価値のある分野です。

 

画像検索エンジン

チャットボットと同様、2010年代初期には、ECサイトにおいてAIによる画像検索エンジンの使用が急速に拡大するだろうという大胆な予想が出されていました。気に入ったTシャツを目にしたら、それを写真に撮るだけでプログラムがそれを探してくれるだけでなく、類似品も提示されるというのは、素晴らしいアイデアです。でも、実際、画像検索はどうなっているのでしょうか? 

画像検索における最大の成功例はPinterestレンズでしょう。このレンズ機能は、撮影された写真に基づいてユーザーに提案を行います。Pinterestは、家庭にある物やファッション関連の画像の中から25億個以上の物体を識別できると報告しています。さらに、レンズのユーザーの80%がショッピングの際、画像検索から始めていると自負しています。Pinterestの他には、テクノロジー大手のFacebook、Instagram、Google、Amazonなど全てが画像検索の分野に試験的な参入を始めています。これが潮目となるかどうかを結論づけるのは時期尚早ですが、オンライン検索やオンラインショッピングの手段が増える方向にあるということは確かでしょう。

画像検索を導入するためには画像のアノテーションが必要です。つまり、物体の名称、ブランド名などに基づいて画像内の物体にアノテーションを施す作業です。ファッションや家具が現在最も人気のある検索で、食品やレシピの検索も増えてきています。アップロードする際にAIが自動的にアノテーションを付けるように学習させることもできますが、アノテーションを専門とする企業に委託すれば、具体的な要件に基づいて画像にアノテーションを施してくれます。

クラウドソーシングによる画像アノテーションについては、こちらをご覧ください。

 

音声検索

音声検索は利便性を向上させます。キッチンでお皿を洗っている時や車を運転して職場へ向かっている時など、「ヘッドホン 一万円以内」と入力することはできません。こんな時は、多くの人が「一万円以内で買えるヘッドホンは?」とSiriかAlexaに尋ねます。

バーチャルアシスタントの急増により、この検索分野は着実に成長しています。モバイル検索の20%がこの方法で行われているという報告もあります。つまり、音声検索向けに最適化していなければ、潜在顧客の20%が、好みのチャネルで貴社のサービスを見つけられない可能性があるのです。ユーザーが音声検索を利用し、メリットを受けられるようであれば、音声検索最適化を検討する時期が来たと言えるでしょう。以下に、音声検索で自社の商品やサービスをユーザーに見つけてもらいやすくするための方法を3つまとめました。

  • 音声検索は通常、外出先で使用されます。歩いて移動している場合や運転中など、いずれの場合でも、音声検索のユーザーは迅速な回答を求めています。サイトスピードを最適化すれば、潜在顧客が欲しいものを欲しい時に購入できるようになります。
  • 文字入力による検索はキーワードが中心になりますが、音声検索は会話が主体となります。キーワード検索で「iPhone 東京」となるところが、音声検索では「iPhoneは東京のどこで買える?」のようになります。ロングテールキーワードに注目すれば、潜在的な音声検索顧客を惹きつけることができます。
  • 上記のヒントからわかるように、音声検索は入力による検索よりも会話調です。そのため、質問形式の検索に対応した回答を準備することが重要です。どこで、いつ、どうやって、何を、誰がという言葉から始まる質問に答えられるようにしておきましょう。このようにすると、コンバージョンファネルの全てのレベルの顧客に対して最適化することができます。

新しい検索スタイルに応じた戦略を準備するのは大変ですし、時間もかかります。現在、どのような検索戦略を採用すればよいのかわからない場合は、検索評価を専門とする企業に相談するのも一案です。検索クエリや検索結果、関連結果、キャプション、広告の見直しや改善に役立ちます。 

ECサイトでAIをうまく活用すれば、顧客体験が向上します。プロセスがよりスムーズになり、利便性が向上するので、顧客の購買意欲が高まります。とは言え、サイトにAIを導入するのは複雑な試みであり、プランニングや学習、準備が不可欠です。そのため、導入を決定する前に導入に必要な事柄を理解していることが重要です。

 

AIプロジェクトに使えるECデータセット

EC企業は大量のデータを比較的簡単に手に入れることができます。AI開発者にとって問題となるのはデータが入手できるかどうかということです。一般にECサイトのデータには機密情報が含まれているため、公開されているデータベースをみつけるのは困難です。

LionbridgeチームはWeb上を調べてAIプロジェクトに使えるEC業界の公開データセットを収集しました。どうぞご活用ください!

 

EC製品のデータセット

 

EC商売取引のデータセット

 

ECサイト内検索エンジンのデータセット

  • EC検索関連性: 五つの主要な英語ECサイトからの画像URL、ページの順位、各製品の説明、各結果につながる検索クエリ等を含むデータセット。
  • Best Buy検索クエリNERデータセット: 手作業でラベル付けしたbestbuy.comの検索クエリを含むデータセット。検索クエリはブランド、型名、カテゴリー名等、さまざまな重要なエンティティに分類されたフレーズを持つ。

 

ECサイト口コミのデータセット

 

EC業界のデータセット

  • 年間小売業調査 (ARTS): 米国の年間総売上、EC売上、年末在庫、在庫対売上率、仕入、総事業費、米国外の在庫の見積り。
  • 経済センサス: 全国レベルから地方レベルまで、五年ごとに産業や団体の事業活動の詳細なポートレートを提供。
  • E-Stats: メーカー向け出荷、卸売・小売売買、サービス産業の収益等、さまざまな経済活動の経済活動を評価基準とした調査。
  • 1999年~2015年の商品カテゴリーごとのEC売上: 1999年から2015年までの商品ごとのEC売上と複合年間成長率を示すセンサスデータ。

 

LionbridgeのAI学習データサービス

お探しのデータセットが見つからない場合は、当社が作成いたします。20年にわたる、ECサイトのWeb翻訳・ローカリゼーションのサービス、そしてチャットボット、商品分類、検索エンジンなどのAI導入も支援しております。ECサイトのAI導入法や料金については、こちらからお問い合わせください。

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